イタリアバッグ三大特色

 大人の女性がイタリアバッグを支持する理由は、ルネサンスにまで遡る三大特色に秘密があります。デザイン、色彩、素材の三要素のうちどれかがひとつでも劣っていれば一流品とは言えません。良質な素材からインスパイアされたアルティザンのクラフト的生産によってデザインの創造が成し遂げられています。

デザイン

 イタリアバッグの最大の特色は、なにより秀逸なデザインにあります。デザイン力は、ルネサンス期の建築にまで遡ります。大聖堂の優美なドームがフィレンツェの天空にその全貌を現した1436年がルネサンス様式の誕生です。大聖堂を核としたフィレンツェの都市空間において、後にレオナルド、ミケランジェロ、ラファエロといった才能が開花し盛期ルネサンスを向かえます。イタリアのデザイン創造の源泉は、ルネサンス期の建築にあるのです。

色彩

 イタリア半島は、地中海の青い海と太陽の光をいっぱいに浴びた果実のオレンジといった彩やかな色に囲まれた風土である。こうしたイタリアでルネサンス期に入ると色彩にも革命が訪れることになります。レオナルド・ダ・ヴィンチは、光と色彩の関係から空気遠近法とスフマート(ぼかし)の技法を編み出しました。芸術と科学の研究が渾然一体となった工房の作品は、ファッションの色の世界にも影響を及ぼすことになります。こうしたイタリアの豊かな色彩感覚は、現代にも生き続けています。

素材

 イタリアの皮革製品の良さは、なんといってもその素材の良さにあります。ヨーロッパの老舗のバッグメーカーの前身は、馬具工房です。馬に載せる鞍や馬具を作っており、その顧客は貴族階級でした。しかし、近代に入ると移動手段が馬や馬車から鉄道や自動車に変化していく過程で、皮革製品を軽量に作る技術を貴族階級向けのトランクや高級バッグの製造に転成させていくことになりました。また、近年は環境汚染の問題がクローズアップされており、化学薬品を使ったクロム鞣から地球に優しい植物タンニン鞣を復活させようという動きがイタリアから起こっています。

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